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プロフィール

塩入志津子

Author:塩入志津子
編集者・駅弁研究家
JTBガイドブック、旅、情報版など各種延べ800冊の制作編集に携わる。
1987年から2011年まで24年6ヵ月にわたり『JTB時刻表』巻頭グラビアページ「駅弁細見」を連載。北海道から沖縄まで、190社の調製元現場を取材、撮影、執筆。
賞味した駅弁は約1700食。
著書に『旬の駅弁名鑑800』(講談社)がある。

東京ガス主催「全国高校生駅弁チャンピオン大会」(テレビ東京系列)では、3年連続審査員を務める。ほか週刊誌などの雑誌執筆、セミナー講師、講演、TVなど。

ブログの文章トップで掲載の写真は、塩入が撮影。

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マツコ・デラックス

エッセ-1508 
散歩で出会った、群れない葉

 仕事がら、駅弁に関するメディアの放送や活字は、なる
べく見るようにしている。
 
2015年8月「マツコの知らない世界SP 駅弁」を見た。
解説というか、案内役は、立ち話程度はしている知人の
鉄道ジャーナリスト、櫻井 寛さん。
 
櫻井さんは、てきぱきと爽やかな語り口で、有名駅弁の
宮島口のあなごめしや北海道厚岸のかきめし、大丸や東
京駅地下のお弁当などを紹介。動く車窓の演出などもあ
り、なかなか楽しい。
 
紹介される駅弁を、マツコさんはすべて食べてみる。あ
んなに食べて大丈夫なのか、と心配になるほど。
大きく口を開けて、するりと押し込む。美味選出の弁当
だから、私は、味はほとんど経験済みなので、あの美味
さをどう表現するだろうと、真剣に見入った。
 
ほとんどの弁当がマツコさんには初めての味らしいが、
こんなにいい味の弁当が1000円か、1200円、なかには
650円など、驚きと美味さを,目力たっぷり、表情豊か
に表してみせる。
 
140kgの巨体、歯に衣着せぬ意見、時には、江戸っ子の
べらんめー口調、乱暴な男言葉だが、嫌味がない。
 
全部がそうではないだろうが、お座なりや嘘がない。
周りをながめて、意見を言うのではなく、素直に自分を
吐露しているのが、若者にも共感を与えるのではないか。
雰囲気に品がある。
 
もう、2000年からの登場らしいが、私がマツコさんをテ
レビで見るようになったのは、まだ2~3年である。
面白いキャラクターだという印象と、話に中身があるな
あと思った。
 
さて、駅弁にもどって。
櫻井さんの楽しい解説に、これも買いたい、あれも、と欲
張るマツコさん。
 
話の締めくくりに、「マツコさんは、どの駅弁が一番美味し
かったですか」と駅弁案内役の櫻井さんが聞いた。
 
最後に相手から引き出したい、定石どおりの質問。
 
どう、答えるだろう?  私は、緊張した。
答えによっては、私のマツコ観が変わる。
 
マツコさんは、考える時間を持たず、即座にこう答えた。
「どれも真剣につくっているのよねえ。どれが一番なんて言
えないわ。みんな素晴らしかった。これでいいかしら」
 
新聞や週刊誌は、旅行シーズンに「駅弁特集」を企画する。
読者の興味を引くため、10点推薦の中の順位をつけるよう
依頼される。
その時、私は、どうしても順位をつけなければならないのな
ら原稿を辞退してきた。
 
駅弁の調製元に対し、取材でお世話になったとか、知り合っ
て親しいからとか、という相手に対する遠慮ではない。
本質的に、自分が納得できないからである。
 
メディア側は、気軽に読者サービスとして、順位づけを依頼す
るが、順位づけされたほうは、どうか。
調製元にとって、どの駅弁もわが子同様可愛い。大切だ。それ
が、つたない仕上がりであったら、売上げ、という形で社会が
教えてくれるだろう。と私は考えている。
 
そう説明すると、塩入さんだけ、順位をつけなくて結構です。
と我意を通させてもらっている。
 
作家の五木寛之は、「どうつくろっても、テレビは、その人間を
丸裸にして見せてしまう」と、書いている。
 
最近、テレビに、マツコという「こちらの勝手友人」を発見して
楽しんでいる。                 2015/08/27
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