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プロフィール

塩入志津子

Author:塩入志津子
編集者・駅弁研究家
JTBガイドブック、旅、情報版など各種延べ800冊の制作編集に携わる。
1987年から2011年まで24年6ヵ月にわたり『JTB時刻表』巻頭グラビアページ「駅弁細見」を連載。北海道から沖縄まで、190社の調製元現場を取材、撮影、執筆。
賞味した駅弁は約1700食。
著書に『旬の駅弁名鑑800』(講談社)がある。

東京ガス主催「全国高校生駅弁チャンピオン大会」(テレビ東京系列)では、3年連続審査員を務める。ほか週刊誌などの雑誌執筆、セミナー講師、講演、TVなど。

ブログの文章トップで掲載の写真は、塩入が撮影。

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ペットボトルと後期高齢者

1504エッセー 
ラバグルート・ドイツ(新宿御苑バラ園)
 
最近、ペットボトルを楽しんでいる。
 
コカコーラの1.5リットルの大きなものは、輪ゴムやクリ
ップ類、花入れなど。ソースやジュースなど、直径5~6
cmのものは、最近使用が増えたメガネ入れとして数カ所
に立てておくと、どっこいしょ、と取りに行かなくてもい
いので助かる。
ほか、高さ5cmほどにカットしてちびた鉛筆を入れたり。
 
用途に応じて適当な長さに切り、切り口に、赤、黒、黄、
銀などの色ビニールテープを巻くか、切りっぱなしにする
のも好きだ。
 
よく見ると、透明ななかに様々な模様というか、デザイン
が施されている。直径9cmのコカコーラは、タテのダブ
ル線が10本入って極めてシンプル。メガネ立ての直径5
cmには、縦長の窓のような形が5カ所デザインされてい
る。矩形型の大きなボトルには、シダの葉もどきの模様
がみられる。
 
透明のなかの、模様のような凹凸が何か、謙虚に思える。
 
底の部分も内容物によって成型がちがうようで、平面や、
ゴツゴツ岩のようなものや、ちょっと真ん中を押し上げた
だけのものなど、触ってみると面白い。
 
イギリスではふつう、プラスチックボトルといい、「ペッ
トボトル」は、日本でしか通用しない和製英語らしい。
 
日本では、キッコーマンとプラスチック容器製造会社の吉
野工業所が1977年に醤油の容器として開発したのが始まり。
1982年に飲料用が認められ、コカコーラが先陣をきって
1983年から全国的に使用するようになった。
今や、飲料水や調味料などの容器として不可欠の位置を占
めている。その形が商品イメージや売り上げに影響するた
め、飲料メーカーは、特色ある形状づくりに、しのぎをけ
ずっているようである。
 
4月に入ったばかりのある日、いつものように空になった
ペットボトルを洗剤で洗い、ラベルをはがして台所の窓辺
に並べた。
 
眼下は、「さくら通り」の名称がある街路樹の道で、雨の翌
日の満開の花が、道行く人の足をとめている。
 
3本ほど並んだ窓辺のペットボトルは、ラベルをきれいには
がして、もちろん中身もないので、その透明な姿に、通りの
さくらの微かなピンク色を映している。きれいだなあ、と思
った。
 
引っ越して、始めての窓辺に迎える、眼下のさくらだった。
テーブルにひじをついて、しばらく眺める。
 
ふと、思った。
人間も、70歳を過ぎたら、窓辺のペットボトルのように
なったらどうだろう。
 
自身の中身を使い切ったら、今までつけていたラベルをき
れいにはがして、一度、透明になってみる。
 
すると、いろいろなものが見えてくる。
 
それから、メガネ立てや花入れになってもいい。二度目の
お役立ちである。
透明ななかに、それこそ、長い間培った自己という模様を
描いてみる。
 
50年近い時間に詰め込まれた、人生という中身も、自分
では気付かぬうちに雑菌やオリがたまっていはしないか。
 
最近、その雑菌やオリのままの過去の栄光を、声高に話す人
が多いのに気づきませんか。
かつては大会社の部長であった、常務だった。出自は、〇〇
県の有名人の係累なのよ、など。
 
(申し訳ない言い方ですが)そんなとき黙ってうなずいてい
るが、「なんて、退屈な人なんだろう。今あなたは、何をし
たいか、未来になにをみたいか」など容器のことではなく、
あなたの考えや思いを話しませんか、と思う。
 
親類縁者の集まりや、30~50年の知己とのおしゃべりな
ら、自慢話もご愛嬌で、ひとときの話題のツマで笑える。し
かし、初対面の人は、別だ。自慢話は、子供同士でもあきる。
 
若い人になら、率直に言えても、後期高齢者にはだれもいっ
てくれない。年を重ねるとは、そういうことなんだと思う。
 
私も、どこかでそんな話をしていて、すっかり忘れているの
かもしれない。
                                                                (4/29/2015
 
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