プロフィール

塩入志津子

Author:塩入志津子
編集者・駅弁研究家
JTBガイドブック、旅、情報版など各種延べ800冊の制作編集に携わる。
1987年から2011年まで24年6ヵ月にわたり『JTB時刻表』巻頭グラビアページ「駅弁細見」を連載。北海道から沖縄まで、190社の調製元現場を取材、撮影、執筆。
賞味した駅弁は約1700食。
著書に『旬の駅弁名鑑800』(講談社)がある。

東京ガス主催「全国高校生駅弁チャンピオン大会」(テレビ東京系列)では、3年連続審査員を務める。ほか週刊誌などの雑誌執筆、セミナー講師、講演、TVなど。

ブログの文章トップで掲載の写真は、塩入が撮影。

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老いる者と若さを重ねる者

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美術館で憩うひと(東京都現代美術館)


最近、JR北海道の異常事態について、新聞やテレビが様々な

報道をしている。

 

「異常事態」とは、列車を走らせるレールは、重量のある鉄道

車両が繰り返し走行することでレール幅が広がったり、沈下に

より左右の高さが不ぞろいになるため、定期的な保守点検が必

要になる。それがなされていなかった、ということらしい。

 

その結果、脱線事故が多発。すべて人間の命に関する問題であ

る。まさに、異常事態。

北海道は、仕事で主な幹線の駅には降りているが、幸い事故に

は遭遇しなかった。しかし、北海道で列車に乗るのが怖くなっ

た人も多いのではないか。

 

これが人間だったら、と考えてみる。

以下は、私の周囲で今月起きて、さびしい思いをしたことです。

 

大企業で、長年勤めて栄光も得た。定年直前、次の職場を得て、

人にものを教えて17年。

 

教えを受ける側も成長して、発言も増え、指導方法に満足せず、

さまざまな提案をするようになった。

 

大企業で温室育ちだったその先生は、生徒の発言が気に食わな

い。10月からの新期を控えて、後2回の講義を残した時、

ある生徒の発言を機に、突然、やめると言い出した。

生徒は唖然として、だれもなにも言わなかった。

 

授業の内容については、その世界も大きな変化が起きていた。

しかし、先生は依然として旧態のままの授業を望んだ。

 

変えられないのだ。

変えるために、なにが必要なのかが彼には、わからなかった。

 

或る技能には優れていても、そのほかの点も教師足りうるかは

疑問で、すべてに自分が上にいなければならぬ、ということは

ない。

足りないところは、同年代の生徒に聞いてもいいではないか。

 

5年、10年、17年と長い時間を共有している人間同士。

人の交わりとはなにか。守らなければならないプライドの中味

とは、何なのだろう。

 

この状態は、JR北海道同様、恐いのではないか。人間だから

恐い。人にものを教える立場の人間だから、なお怖い。

 

JR北海道は、事故が起これば批判の矢が飛んでくる。

人間は、年を取るほど、他人はなにも言ってくれなくなる。

恐いのは、お山の大将、裸の王様になること。

 

後のことを考えたのかという質問に、残った2回の授業も立派

にやったではないか、と答えた。残りの授業の責任を果たすの

は、当たり前である。その是非の判断もつかない最後の会話に、

悲しみさえ覚えた。

 

そんなことを言っているのではない。社会的に13名の生徒を抱

えた人間として、刹那的な発言で、あとの手当も考えず、やめた

いからやめる、と恥ずかしげもなく発言しているのを聞いて、

この人は、残念だが「老いてしまった」と思った。その結果、

 

13人の人間と17年間の短くない共有の時間を、ほうり投げた。

 

作家の伊集院 静は、「大人になるとは、どういうことか」と問わ

れて、「他人(ひと)に自分はなにができるか、と考えられること」

と答えた。

 

年の取り方に「老いる者と若さを重ねる者」という言葉が、南米

にあるという。できれば回顧趣味ではなく、若さを重ねて生きた

い、と願っている。                 2013/09/30
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