プロフィール

塩入志津子

Author:塩入志津子
編集者・駅弁研究家
JTBガイドブック、旅、情報版など各種延べ800冊の制作編集に携わる。
1987年から2011年まで24年6ヵ月にわたり『JTB時刻表』巻頭グラビアページ「駅弁細見」を連載。北海道から沖縄まで、190社の調製元現場を取材、撮影、執筆。
賞味した駅弁は約1700食。
著書に『旬の駅弁名鑑800』(講談社)がある。

東京ガス主催「全国高校生駅弁チャンピオン大会」(テレビ東京系列)では、3年連続審査員を務める。ほか週刊誌などの雑誌執筆、セミナー講師、講演、TVなど。

ブログの文章トップで掲載の写真は、塩入が撮影。

全記事表示リンク

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

自ら老いる

Scan0001.jpg




2010年11月25日、読売新聞夕刊で、「老いる身体感 失う恐れ」「健診・検診のマイナス面」と題して、拓殖大学長、渡辺利夫氏が大変、示唆に富んだ話をされている。

50代の終わり頃、肺のCT検査を受け、「影がある」といわれ、細胞検査で「異常なし」とわかるまでの2週間、「がんではないか」の不安にさいなまれ、半病人状態だった。

その時、「年齢とともに、検査で異常が見つかる頻度が増えるのは当然ではないか。僕は健康のためだけに生きているのではない。---病気のことにかかずらわって、短い人生の貴重な時間を空費できない」

と思って、11年前、還暦になったのを機に検査を受けるのをやめた。やめてから1年くらいは不安はあったが、それ以後はストレスから解放された。といわれる。

体のどこかが痛かったり、違和感があると、神経質な人はすぐに病院に飛び込む。医師も
「精密検査しましょう」と言う。そうすると、何度も検査で確かめないと気が済まない
「確認恐怖症」の深みにはまっていく。

検査をやめて、健康な身体感を得たように思います。という。

健康な身体感とは、どういうことか。の記者の問いに、

年とともに、小さな活字が読めなくなる、ひざに痛みが出る、といった機能不全が表れます。それを身体の異常と考えるのではなく、「年を重ねるとは、そういうことなんだ」と受け止めて、生老病死のライフサイクルに身をゆだねる。年相応に老いていくということですね。

ところが現代人は、かつての人なら「自然の成り行き」と考えていた老いを、「異常」ととらえるようになってしまいました。つまり、いつまでも若いころのような身体状態を保つことが健康と考えられるようになった、という。

それこそ異常なこと。アンチエイジングがはやっていますが、不老不死を追い求めるようなもので、実現不可能なことです。

老いや死を遠ざけようとする心理そのものが、逆に病や死を自覚させる。遠ざけたいという想念が自分にからみ付いてきて、逃れられなくなります。と話されていた。

私も、このご意見に大賛成である。

17歳の時、盲腸で入院、長じて、耳の手術では40日入院、椎間板ヘルニアで苦しんだときは、医者のすすめた手術を無視、家でそっとすること半月で治癒。手首骨折の手術で一晩入院など。やむをえぬ故障以外は、基本的に病院愛好家ではないので、健診・検診もこの十五年ご無沙汰である。

使わない健康保険料や介護保険料は、どなたか、重い病でお困りの方に使っていただけると思っている。

昨年、右肩が痛くて上がらないので、やむなく近所の医院に行ったら、「四十肩ですよ」「えっ、わたし、四十じゃないんですが」と,トンチンカンな答え方をして、先生に「せっかくサバよんであげたのに」と笑われた。

先日、同業の編集者の友人と飲んだとき「今、どんな本作っているの」との問いに「健康関係、健康にいい黒酢とか、美容関係」という答えが返ってきた。

男性も女性もアンチエイジング、グルコサミン、コンドロイチンが大流行り。いかに、細くなるか、赤ちゃんのようなお肌になれる。えっ、それは無理なのでは?と、つい、つぶやいてしまう。情報過多と科学の進歩で、人間はなんでもできる、と思い込んでいはしまいか。もちろん、進歩は喜ばしい。受け取る人間の側の問題なのでは。

それが職業の人は別にして、健康や美容そのものが人生の目的になってしまうと、悲しいなあ、と思う。

人は、必ず年をとる。しわもできる。しみも避けがたい。お金のふんだんにある人は美容院できれいになればいい。整形に100万単位のお金をかければいい。

でも、なければ、工夫する。学校を出て、安月給の編集者のころ、キュウリや玉子で顔パックをしたり、やかんの湯気で顔に湿気を補充したりした。

身体や顔は、男も女も自分でつくるものでしょう。

最近、テレビで大竹しのぶさんが「エディット・ピアフ」を演じているのを見た。私が見てきた彼女の顔の中で、今の大竹しのぶさんの顔が一番いい。ピアフがそこにいた。ピアフという、一人の女がいた。人生を経験し、芸を磨き、修行して、大竹しのぶさんご自身でつくった顔です。グルコサミン、コンドロイチン、美容院ではつくれない顔が、そこには、ありました。
(2013・2・18)
スポンサーサイト

COMMENT

EDIT COMMENT

非公開コメント

ブログ村ランキング
応援のクリックをお願いします
著書の紹介
検索フォーム
アクセスカウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。