プロフィール

塩入志津子

Author:塩入志津子
編集者・駅弁研究家
JTBガイドブック、旅、情報版など各種延べ800冊の制作編集に携わる。
1987年から2011年まで24年6ヵ月にわたり『JTB時刻表』巻頭グラビアページ「駅弁細見」を連載。北海道から沖縄まで、190社の調製元現場を取材、撮影、執筆。
賞味した駅弁は約1700食。
著書に『旬の駅弁名鑑800』(講談社)がある。

東京ガス主催「全国高校生駅弁チャンピオン大会」(テレビ東京系列)では、3年連続審査員を務める。ほか週刊誌などの雑誌執筆、セミナー講師、講演、TVなど。

ブログの文章トップで掲載の写真は、塩入が撮影。

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パン

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パンはちぎって食べるという作法がある。

たとえ小さくても、ガブリッとやってはいけない。

しかし、どう食べても勝手じゃないか、と、日本では、思う人もいるのではないか。

外食ではやったことはないが、実は私も、家では、ついやっている。

しかし、とりわけ、ヨーロッパでは、この、ガブッ は、やらないほうがいいらしい。
ということを、ある書物を読んで痛感した。

「これは、キリスト教の『与える喜び』 からくる行為だと考えられる」 という。

ガブッ とかぶりついてしまうと、もしここに突然、餓えて死にかかったかわいそうな人があらわれたら、口をつけていないほうをあげることができない。だからパンは、二つに割る。もしくは、小さくちぎって食べなさい、ということになるのだ。

「つまり、丸かじりするのは、品の悪い人、育ちの悪い人どころではなく、もっと卑しい最低レベルの人間と誤解されかねないのである」 (森山進著『今すぐ転機に備える
95の方法』成美文庫)と、ある。

著者の森山進氏は、ベルギーで世界最大の国際会計事務所プライスウォーターハウス・クーパースの重役である。

ベルギー・ブリュッセル、三ツ星最高級のレストランで友人と食事中に、東洋人カップルが、パンの丸かじりをして、回りのヨーロッパの淑女たちの鋭い視線をあびているのを、目撃したという。

そして、
「おそらく、その男もパンをちぎるぐらいは知っていただろう。しかし、詰め込み学習ではいざという時に行動が伴わないのである」 と、著者は戒めている。

つまり、今や、常食のような存在のパンも、日本人にとっては、生まれながらの作法としては、身についていないのである。わかっていたら、ごく 自然に、優雅にちぎって食べたことだろう。

日本にパンが伝来したのは、安土桃山時代、ポルトガルの宣教師によるという。
ただ、広く受け入れられたのは、明治時代からで、歴史としては短く、約150年。ヨーロッパの比ではない。

惜しむらくは、パンが普及するときに、パンに関する「キリスト教の『与える喜び』からくる行為」という、不可欠の作法も、日本に普及させておけばよかったのではないか。結果、東洋人カップルも恥をかかないで済んだかもしれない。

あるいは、外国人が日本食の作法で、同じような場面になることがあるかもしれない。そのとき、多分、日本人は、その外国人を蔑まないだろう、と、私は思う。

それにしても特に、ヨーロッパを旅する時は、心しておくことだ、と反省した。
(2010年7月)
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