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プロフィール

塩入志津子

Author:塩入志津子
編集者・駅弁研究家
JTBガイドブック、旅、情報版など各種延べ800冊の制作編集に携わる。
1987年から2011年まで24年6ヵ月にわたり『JTB時刻表』巻頭グラビアページ「駅弁細見」を連載。北海道から沖縄まで、190社の調製元現場を取材、撮影、執筆。
賞味した駅弁は約1700食。
著書に『旬の駅弁名鑑800』(講談社)がある。

東京ガス主催「全国高校生駅弁チャンピオン大会」(テレビ東京系列)では、3年連続審査員を務める。ほか週刊誌などの雑誌執筆、セミナー講師、講演、TVなど。

ブログの文章トップで掲載の写真は、塩入が撮影。

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1.5倍の迷惑

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二十五年になる馴染みの飲み屋がある。

おやじとママの二人で営む、常客の多い温かい雰囲気の店である。
建て付けの悪い引き戸を開けると、厚い一枚板のカウンターは7人掛けで、奥の小座敷に卓が4つ。カウンターの向こう側で、おやじのつくる焼き魚や刺身、煮物がうまい。
 
ある晩、あまり見慣れないカップルが隣に座った。
二十代後半とおぼしき男性は少々太めで、さかんに女性に話しかけている。私の右隣に座ったその男性は左腕をカウンターにのせて、女性に話しかける。完全に私に背を向けた、右向き状態だ。
 
カウンターは、超高級料理店以外は、一人分のスペースは、そこそこ一人分しかなく、袖すりあう距離である。原則として、前を向いて呑むのが暗黙のルールではないか。がらがらに空いていて、ゆったりスペースがあるならいいが、当日は満席。

話に夢中なのか、女性の気をひきたいのか、隣の男性の体は完全にカウンターに向って、90度の体勢になった。ということは、左となりの私の領域に左腕が乗せられていて、飲みにくいことおびただしい。私のカウンタースペースの領域侵犯である。

速くお帰りいただくことを念じて我慢を重ねる。
ところが、それから1時間たっても姿勢は前向きにならない。帰りそうもない。
私の顔の右側は男性の背広があって、景色は最悪。

とうとう、切れた。そして、言った。
「もしもし、すみませんが、女性とこの状態でお話になりたのなら、座敷へいらしたらどうでしょう。あなたが私のスペースに腕をのせていらっしゃると、カウンターで1.5倍のスペースを取って、私に迷惑がかかっています。カウンターでお飲みになるときは、最低のルールがあるんです。それができない人はここに座ってはいけません」 30歳に近い男性でも、作法が分からない人がいる。
招かれて飲むときは、そばを一杯お腹に入れてから。接待されていて、ガツガツしないためである。付き合いの程度にもよるが、接待される側のたしなみの一つである。
近頃は、会社で上役がお酒の飲み方を教える機会も少なくなったらしい。
  
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